男の離婚と法律、裁判所

なぜ、男は協議で離婚すべきなのか

 

 

結論から先に言うと、基本的に男性は女性に法律では勝てません。

 

いや、仮に勝てたとしても、
そのことをもって相手の風上に立てるとは限らないのが現状です。

 

これは法技巧的な話とは違った事情によって発生する問題ですから、
弁護士を立てようがどうしようが、変わらないと思って下さい。

 

 

 

かつて僕自身、サイトを立ち上げて間もない際には、
法的な面からアプローチしたコンテンツを上げていましたし、まぁ、当事はよく人も集まりました。

 

 

性差の理不尽に法律で戦う、というのは非常に耳受けがいいですからね。

 

マスコミ等によく取り上げて頂いたのもこの時期で、
かなりセンセーショナルな話題として盛り上がったようです。

 

 

しかし、現実はそう甘くはありません。

 

 

離婚は基本的には民事の世界の話ですから、法律上でのアプローチとなれば、
法の理屈を通した上で約束を破れば強制執行、といった流れを踏むのがセオリーです。

 

ところが、男性の離婚問題では、
この法律手続の要とも言える強制作用が効かない事例も多々あります。

 

 

例えばですが、面会交流の履行を裁判、審判等で勝ち取り、
面会日を迎えた状況を想像してみて下さい。

 

当日、相手が来ないことも珍しくはありません。

 

それに対して、じゃあ強制執行を、となるわけですが、
この際、相手方が子の精神が不安定、怖がっている等の言い分を出すわけですね。

 

法律上の論点の問題であれば判決が出ている以上、ご自身が雇った弁護士はもちろん、
裁判所も言い訳無用、となるのですが、体調不良や怖いというのは極めて主観的な問題です。

 

第三者からそれを否定したところで反論になりません。

 

手続をしてもそういった理由で抗告をされてしまうと、
それを否定できる証拠や言い分を男性側が探し回ることになります。

 

そして、なにかしらの反論材料を用意できたとしても、
今度はまた別の主観的な理由で抗告され、それに対してまた対応を迫られる。

 

結局、こうなると法律上の勝利は有名無実となってしまいます。

 

 

相手方に弁護士がついているのならそんなことはしないんじゃないか、
と思われるかもしれませんが、関係ありません。

 

こういう状況下では、相手方弁護士も戦略と称して平気でそういった手段に出てきます。

 

 

これは決して大げさに一部の事例を取り上げて言っているわけではなく、
男性の離婚問題を取り扱っていればごくごく当たり前のように見る光景です。

 

実際、弁護士が対応中の方から相談を受ける機会も少なくありませんが、
大抵の場合、こういった部分で手詰まりになっているケースがほとんどです。

 

もちろん、そういった方面からのアプローチを全否定するつもりはありませんし、
弁護士等に法律バトルを委託するのも、それを望むのであれば自由で良いと思います。

 

そういった方達にこの問題に対して興味を持って活動して頂き、
有用な先例を作ってもらうことも将来的に見てとても大切なことだからです。

 

 

ただ、委任契約等をする際には、相手方がそういったラフプレイに出てきた場合、
その対応策をちゃんと用意しているのかということを必ず確認するようにして下さい。

 

 

でないと、本当に無駄になります。

 

無駄、で済めばまだ良いですが、
最悪の場合、その後、自分の方からは何も打つ手立てがなくなります。

 

 

一度、法律、強制執行というテーブルに話を持っていってしまった以上、
相手と改めて話し合いの場を設けたりするのはほぼ不可能だからです。

 

これは、一般の感覚でも十分ご理解頂ける話かと思います。

 

そうなると改めて話し合いをするには、
相手側に降りてきてもらわなければならなくなるわけですね。

 

 

僕はこの状態を「議論の風下に立つ」と称しておりますが、
こういった状態になりますと、協議上で主導権を握ることが非常に難しくなります。

 

「話せば分かる」などと甘いことを言うつもりはさらさらありませんが、
この問題は司法の立場からのアプローチでは、どうしたって限界があるのです。

 

 

時代が変わり、揺ぎない強固な先例、指針でもできてくれば少しは変わるのかもしれませんが、
女性を弱者とし、社会の救済対象と考えるのは今や国際社会での常識。

 

今後、この根幹自体が変わることはないかな、というのが現状での僕の私見です。

 

 

それゆえの、協議大前提。

 

本当に戦略を練るべきなのは法テクなどではなく、協議での決着のつけ方。

 

 

 

僕がこの立場で、この手の仕事に手を出しているのもそういった理由です。

 

 

協議で決着をつけるためには法律論ではなく、
対人関係及び自分と相手方を俯瞰した上での構図把握が重要となります。

 

アプローチの仕方が全く異なってくるのです。

 

 

 

「あそこ(裁判、訴訟)は法律をこれまでの先例で解釈して機械的に答えを出す場所で、
気持ちや勢いだけでどうにかなる世界じゃない」

 

 

これは当事、あまりにも若くて調停の場で「どうなっても構わない」と息巻いていた僕に対し、
調停員や裁判所職員の方々が心配して、真剣に言って下さった言葉です。

 

 

 

大切な家族の問題です。

 

 

それらを踏まえた上で、対応を検討されることをお勧め致します。

 

 

2017.12.05 wrote

行政書士 吉田 重信

 

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