慰謝料の法的根拠と相場
「慰謝料の法的根拠と相場」題目
1.「慰謝料の根拠とその性質」
2.「慰謝料の相場」
3.「慰謝料を請求できる相手」
書いた人
離婚・家庭問題はお任せください
行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
秀和システム様より、本を出版しております
「プロが本音で書いた男のための離婚の本」
離婚時の慰謝料は民法上の不法行為を根拠としております。
要約すると、故意や過失によって相手の精神面等に与えてしまった損害を、
加害者が主に金銭等をもって補填するのが離婚時の慰謝料と言われているものです。
つまり、
慰謝料を支払うのは離婚の原因を作った方です。
大事な事なのでもう一度。
離婚の原因を作った方が慰謝料を支払うのです。
離婚に至れば夫は無条件で妻に慰謝料を支払わなければならない、とか、
とりあえず無理矢理にでも夫から離婚を切り出させさえすれば妻は慰謝料をもらえる、
なんていうのは間違った解釈です。
仮に夫の方から離婚を切り出した場合であったとしても、同じこと。
その結論にまで至った原因が妻側にある場合には、慰謝料を支払う必要が無いどころか、
逆に夫から妻へ慰謝料を請求することだって可能な場合もあります。
慰謝料は精神的な損害に対する賠償であるのと同時に、
精神的苦痛を和らげるための緩衝材のような性質も持ち合わせているものです。
財産的損害と違って、損害の根拠を明示して具体的な金額を算定するのは困難ですが、
これについてはこれまでの判例で、ある程度金額の相場が決まっております。
離婚時に相手が無茶な金額を吹っかけてくることもよくありますが、
あまりに法外と言えるような金額の請求はされたところで気にする必要はないでしょう。
そういったものは請求するのは勝手ですが、裁判上では認められない可能性が高いからです。
本来、人の心は値段がつけられるようなものではありません。
しかし、民法上では精神的苦痛にも、原則として金銭で賠償するものとしております。(民法722条)、
したがって精神的な面での損害についても、
なんらかの基準を用いて金銭的評価をする必要があります。
とはいっても、慰謝料の金額に明確な基準が用意されているわけではありません。
算定にあたっては、夫婦であった期間、婚姻中の関係、離婚の原因、相手の経済力等を、
総合的に見て判断される傾向にあるようです。
具体的な金額についてはケース・バイ・ケースなのではっきりとしたことは言えません。
一般的な家庭で別居も無く、原因が浮気等である場合は、
100万~200万円の間で請求されている場合が多いようです。
(あくまで参考程度に留めておいて下さい)
ワンポイント
復讐感情等で相場を大きく超えた金額の慰謝料を請求しても、
相手が支払うことができなければ意味がありません。
法外な請求は無駄に事案を長期化させるだけで、かえって問題をこじらせてしまうこともあります。
慰謝料を請求する側であったとしても、
常識の範囲内の金額で請求することが問題の早期解決に繋がるものと考えます。
ちなみに、慰謝料請求は不法行為を根拠としておりますので、
原則として3年で消滅時効にかかります。
離婚の原因を作ったのが婚姻の相手方である場合には、その相手に慰謝料を請求できます。
(離婚原因については・男性側から見た離婚の用件をご参考下さい)
ただし、有責配偶者であったとしても財産分与請求権はあります。
妻に収入が無い場合等、金銭を用意させるのが難しい場合は、
この財産分与分に慰謝料を含んで算定して行う方法が採られております。
この場合は、後々紛争を蒸し返さないためにも、
・離婚公正証書等の形で、内容を書面化しておくことが望ましいでしょう。
婚姻関係では平穏な夫婦の共同生活が法的に保護されるものとされております。
ですから、その平穏を破綻させる行為は当然、不法行為となりますから、
行為を行った浮気相手への慰謝料の請求も可能となる場合があります。
離婚の際の慰謝料は、配偶者の親族等に対しては原則として請求できません。
しかし、その親族の行為が積極的に夫婦関係を破綻させたと言えるような場合には、
例外的に慰謝料請求が認められることがあります。
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