養育費請求権の独立性について
「養育費について」題目
3.「離婚の責任や子との面会は養育費の額とは無関係」
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行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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冒頭で説明した通り、養育費請求権は子の権利だ。
だから、この権利は基本的に他の権利の事情によって、
その行使に干渉を受けることはない。
・・・ちょっと分かりにくいか。
要は養育費請求権は独立した固有の権利だから、
例えば面会交流権が実現されないから養育費を払わないだとか、
そういった他の外的事情によって請求権がカットアウトされることはない、ということだ。
そして、これは同時に養育費の支払い方や金額を決めるにあたっても、
基本的にその他の事情は一切関係がない、ということでもある。
もっと言うとな、離婚の責任とか子に面会をさせるさせないとか、
そういうのも養育費の支払い方や金額を決める上では関係のない話なんだよ。
無論、慰謝料代わりに多少多めの養育費に合意したり、
最初の支払い時にまとまった生活費を渡すようなケースがないわけじゃない。
別にそれらの行為については、何らおかしなことだとは思わない。
しかし、養育費の金額を吊り上げるために、
無理に夫の責任を追求したり、・モラハラや・偽DVを持ち出したりするのは反則だろう。
相手の良心を揺さぶれば言うことに従わせやすくなるからと、
専門家等がこのような強引な駆け引きに持ち込もうとする事例は実際に存在する。
場合によっては子との面会を引き合いに出して、
自分の思い通りの支払いに合意させようとするような事例もあるな。
いくら交渉テクの一環だといっても、こんなやり方は卑劣としか言いようがない。
なによりも問題なのが、こういった非道なやり口が、
離婚案件の処理手段として一般、常習化してしまっていることだ。
話を聞いていて、「またか・・・」と思うことなんかしょっちゅう、ある。
いいかげん、こういった行為に対しては何らかの・ペナルティを設けるべきだと思う。
現在では野放し状態、ゆえにやりたい放題だ。
腐るほどある事例なのに、なんで誰も何も言わないのか。
男性諸君もこの手の吹っかけは勢いで言っているだけで、
法的な論拠は乏しい要求だということを覚えておいた方が良い。
・養育費のワンポイント
一般的に養育費は長い期間に渡って収入から定期的に支払うことになる。
だから、相場としての金額を考慮することも大事だけれど、
途中で支払いが頓挫しないような現実味のあるプランを練ることも重要だ。
いくら大きな金額を約束させたって、
実際に支払いようがなければ相手も仕方がないだろう。
養育費は借金ではないのだから、
そもそもの支払えるだけの収入がないのであれば、それまでの話だ。
養育費問題は「子のため」という大義名分がある関係上、
支払ってもらう側が感情面でエキセントリックしやすいという側面がある。
支払う側もついつい、押され気味になりがちな問題だけれども、
実現性に乏しい支払い約束は相手にとってもプラスにならない。
話し合いの際には養育費のメリット・デメリットを自分でよく把握した上で、
相手にうまく伝える必要があるだろう。