男の協議離婚は法律上の皮算用では纏まらない
「男の離婚の基礎知識」題目
2.「男の協議離婚は法律上の皮算用では纏まらない」
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行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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協議離婚はあくまで相手の同意があることが大前提だ。
ここは避けて通れない。
だから、離婚を決めた男がまずすべきことは、折衝力を鍛えることだ。
法律を使ったバトルの方法を調べることではない。
法律にも色々規定があって、必ず法律に沿った形でなければならない部分と、
当事者同士が納得さえしていればある程度融通が利く部分がある。
専門用語で言うと、強行規定と任意規定と言ったりするのだけれど、
詳しい説明はここでは割愛する。
これは「何ちゃら法の何条」とかいって、
条文一つを掻い摘んで説明すれば済む問題などではないからだ。
法律に対する基礎的な考え方や理解が必要になってくる。
とにかく、協議離婚の場合において押さえておくべきことは、
この自分達で決められる部分とそうでない部分の区別をつけることだ。
最低限、それだけ理解しておけば良い。
自分がこのような形で終わりたい、という思いがあるのであれば、
余程、突拍子もない内容でもない限りそれで決着をつけられる。
そのためにも、法律の規定に合わせてどうこうするより、
当事者同士で納得できる形に話を作っていく努力をしていってもらいたい。
相談を受けていると離婚を考える人は大抵、
法律上で自分がどのくらい利益を確保できるのかを考えたりするようだ。
しかし、協議離婚ではそんなことを考えていても、案外、徒労に終わる。
上でも説明したけれど、協議離婚は当事者同士が納得できる形で終わるもので、
法律でそうなっているから、というのはあまり全面に押し出す話ではないからだ。
むしろ、そんな話をしなければならない段階になっているものは、
その後、揉めて調停や訴訟に流れてしまったりするケースが多い。
だから、相手と話をするのであれば、
法律でこうなっているからといった話し方は極力避けるべきだ。
所詮、それは守りの論調でしかない。
これは離婚に限った話ではないが、互いの利益が絡んだ折衝現場での防戦一方の姿勢は、
かえって相手の加虐性を刺激してしまうことにもなりかねない。
・・・いや、小難しい言い方はやめよう。
早い話、
男の離婚は守りに入れば入るほど揉めるんだ。
だから、取らなきゃならない責任から逃げたり、
支払うべきものをなんとか値切ろう、なんて考え方はやめた方が良い。
仮に何かの法律を使って多少値切ったりすることはできたとしても、
そんなことをした人間に対して相手が抱く感情は説明するまでもないだろう。
感情面での激しい対立の結果、
かえって訴訟沙汰になる危険性が高くなる。
これは本当だ。
逃げに入った人間に対しては、
どうしても追い込んでやりたいと意地になったりするものだろう。
それが愛憎劇によるものであるのなら尚更だ。
捨ててもなんとかなる部分は、むしろ自分から積極的に捨てていった方が良い。