離婚調停は裁判とは違う
「離婚調停という場の性質」題目
1.「調停は裁判ではありません」
2.「調停調書には法的効果があります」
書いた人
離婚・家庭問題はお任せください
行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
秀和システム様より、本を出版しております
「プロが本音で書いた男のための離婚の本」
離婚することについての話だけでなく、離婚にまつわる慰謝料や養育費の支払い等についても、
お互いの話し合いで解決が難しい場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるという手段もあります。
調停は原則として夫婦別室で行われるもので、調停員の方々(2人)がお互いの主張を聞き、
相手に伝えながら円満な解決を目指して話し合いをする場所です。
つまり、調停とは裁判のように法律を用いて相手を糾弾したりする場所ではなく、
第三者に間を取ってもらい、話し合いで問題解決を図るための制度です。
とはいえ、何かしらの結果が出る以上、
勝ち負けの概念が存在する世界ですから油断は禁物です。
家庭にまつわる問題は、法律の強制作用によって解決することが馴染まないものも少なくありません。
離婚が成立したとしても、養育費や子との面接交渉等、
その後にもなんらかの形でお互いに連絡を取ったりしなければならない場合もあります。
このようなトラブルはむやみに裁判等の争いに持ち込んだりしないで、
出来うる限り話し合いで解決した方がお互いの今後のためにもなるはずです。
調停制度も同様の理念で運用されている制度であり、
離婚等の事案では、調停を経てからでないと裁判は起こせないようになっております。
(調停前置主義と言います)
調停では、法律上の規定が話し合いの場に出されることは基本的にありません。
調停は裁判とは違い、結論までのプロセスに法的な論理までは要求されていないからです。
でないと、話し合いによる解決なんか出来ないですからね。
しかし、調停の結果によって作成される調停調書には法的な効力が付帯され、
裁判所の確定判決と同等の効力を有します。
たとえば、相手が慰謝料を支払わず、強制的に取り立てようとした場合、
通常であれば調停の後、裁判に訴えて勝訴判決を経て、それから強制執行という流れになります。
しかし、調停調書に慰謝料の支払いが記載されている場合は、
裁判というプロセスを飛ばして、いきなり強制執行をかけることが可能です。
同じような理由で、養育費の支払い等が調停調書に記されている場合、
支払いを滞らせるといきなり強制執行をかけられる恐れもあるので、
調停でなんらかの義務を付帯させられた立場である場合には注意が必要です。
なお、調停では協議の前提として法律が持ち出されることはなくても、
協議をまとめるための指針として、法律の規定が参考にされることはあります。
ワンポイント
調停調書を作成している場合は、相手方の不履行時、
家庭裁判所の履行勧告や履行命令という制度を使うことも出来ます。
また、調停は離婚するためだけでなく、
慰謝料や財産分与等の個別の問題についてでも申し立てることができます。
なお、裁判所が絡む調停の代理行為や申し立て書類の作成は、
弁護士及び司法書士の業務となっており、行政書士では受任することができません。
調停を申し立て、代理交渉を頼むつもりであれば、
弁護士に相談することをお勧め致します。
あくまでご自身で手続きを行い、互いの話し合いで事態の解決を図りたいようであれば、
弊所にて対応できる事例もあります。
調停についてはかつて「当事者」として何度もその場に足を運んだ経験がありますから、
「調停がどういった場所なのか不安だ」といった方には、
現場の雰囲気等を実地体験した経験則からお伝えすることも可能です。
ご自身で手続きを行うが、その前に一度経験者の話を聞いておきたいという方は、
弊所においても対応可能ですので、ご相談下さい。
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