調停は法律の話をする場所じゃない
「離婚調停」題目
3.「調停での戦い方と注意点 相手方弁護士への対処法」![]()
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行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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基本的に調停では、調停員の方から法律上の規定が場に出されることはない。
調停は裁判とは違い、結論までのプロセスに法的な論理までは要求されていないからだ。
確かに調停の結果によって作成される調停調書には法的な効力が付帯されるし、
協議をまとめるための指針として法律の規定が参考にされることはある。
しかし、あくまで決着までのプロセスが話し合いであることには変わりない。
ところが相手方に専門家がついたりすると、少々事情が変わってくる。
これまでは家族間の話し合いであった場に、
法テクや駆け引き等の「勝つための技法」が持ち込まれるわけだ。
くだらないことだと思う。
家庭内の問題にそんなものを持ち込むことの不毛さは、
今更、僕が改めて説明をするまでもないだろう。
これは離婚や弁護士に限った話ではないけれど、
この業界で仕事をしていると「法的にスジが通れば何をしたって構わない」と思っているような、
おかしなのに遭遇する機会が結構な比率で、ある。
いや、正確に言うと、「訴えられさえしなければ何をしても構わない」、だな。
「法の抜け道」ってのは、違法性を回避するという意味だけじゃない。
違法であっても訴えられさえしなければ問題がないものや、
実際に訴えて法的責任を問うまでのハードルが非常に高いものを指す言葉でもあるんだ。
偽証なんか、いい例だね。
連中、そういうのをよく知っている。
訴訟実務の知見があるということは、裏を返せばそういう意味でもあるんだよ。
あとは、専門家が個人的にヒスを引き起こしているとしか思えないようなケースね。
どうにかして子との面会を自由にさせないようにしたり、
ほとんど嫌がらせレベルで法的手続きを長引かせたりするようなことをしたりするわけだ。
職務上の義務や立場も絡む問題だから、
この手の問題に対して単純に倫理面のみから非難するのはナンセンスだろう。
しかし、話を聞いている限りでは、
明らかにそんな高尚な世界の話ではないようなケースが目立つ。
手段を選ばないってのは、
もっと別の局面でやってこそ映えるもんなんじゃないのか。
というか、離婚調停の代理なんかはフツーの感覚であれば、
積極的に引き受けようだなんて思わないだろう。
マトモな先生方は相談だけ引き受けて、
あとは「自分で行ってきたらどうか」と促したりしている。
人様の家庭を他人が論じることの不毛さをご存知だからだと思う。
まぁ、もちろん、元々依頼人と懇意だったり、
紹介を受けたりして引き受けているような普通の先生方もいるみたいだけどね。
これらの諸問題について、大まかにアドバイスするとしたら一つだけ。
相手の用意した土俵に乗るな、だ。
調停を起こされた人は裁判所からの呼び出しや、
専門家の言うことにビビッてしまって、ついつい相手のペースに乗せられてしまう方が多い。
でも、別にそれに従わなければならないという決まりは、ない。
というか、敵が用意したレールだよ?
行き先は地獄に決まっているだろう。
だったら、初めからそんなレールには乗らなければ良い。
ちょっと難しいかもしれないけれど、
相手の言うことを真に受けて論じたりせず、自分の考えを話すことに専念するんだ。
相手に専門家がついていたら、自分でやるのは無理なんじゃないかって?
当事、20歳そこそこだった僕でも一人で何とかしてきたんだ、
できないわけがないだろう。
当然、当事の僕には法律知識なんて、一切、ない。
相手には弁護士がついていたけれど、そんなのお構いなしだった。
それで9割方、自分の言い分は通してきたよ。
何度も言うが、調停は裁判とは違う。
たしかに話し合いのプロセスで法律の規定が参照されるようなこともあるが、
それを主軸として話を進める場ではないし、相手方の出した「それ」に付き合う理由もない。
他人の家族の問題で「勝つためのテクニック」なんかを披露したがる人間の方が、
よっぽど恥知らずで大人気ないんだ。
法律ゲームからの出口は、法律上の損得勘定を凌駕した先にある。
相手の脅しなんか、いちいち、真に受けたりしないことだ。
・離婚調停のワンポイント
調停は僕自身、過去に自分の事情で何度も足を運んできている。
その経験から言う。
相手の立場や肩書きに呑まれるな。
調停で一番大事なのは、そこだと思う。
続き「調停に対する姿勢と考え方 調停は弁護士を立てた方が有利?」
