養育費算定表の見直しは本当に必要か

養育費算定表の見直しは本当に必要か

 

 

現在、最高裁にて養育費算定表の金額を見直す議論が進められており、
この議論に弁護士会は独自に作成した新算定表を基に増額すべきだと提唱しているようです。

しかし、社会情勢の変化を建前としてあげるのならば、
当然、もらう側だけでなく支払う側の情勢変化も考慮されるんですよね?

 

養育費を支払い続けていくには安定収入が必要不可欠ですが、
雇用の不安定さや賃金低下のリスク等、義務者側を取り巻く環境も大分変化しております。

ただシングルマザーの方々は苦労しているのだから額を増やせ、というのは、
あまりにも議論がステレオタイプすぎるんじゃないですか。

 

僕自身、養育費を支払い続けて今年で15年目になりますが、
これまで安定していた時期なんてありませんでしたよ。

 

収入が少ないどころか、なかった時期だって複数あります。

ギリギリの状況にまで追い詰められたことなんか一度や二度ではないです。

 

正直、言うのも憚られるような方法で金を用意した事も少なくないですが、
それでも何とかして支払い続けてきましたよ。

もっと支払え、なんて言われていたら、
到底、カタギのやり方では生きて来られなかったでしょうね。

 

そういった意味合いでも僕はこの15年間、常にギリギリであったと思います。

 

 

とにかくもっと支払え。

支払わないのなら強制的に取り立てる。

 

それしかないのならば、もう逃げるか、犯罪に手を染めるしかない。

 

 

飛躍させすぎと思うかもしれませんが、
支払いようのない金の因果をつけるとはつまるところそういったことですよ。

 

ちゃんとそこまで考えた上で増額を提唱しているのでしょうね?

 

それとも、偉いセンセー方はそこまで己の人生にひりついた経験などありませんか。

 

 

必要なのはちゃんと安定的に支払える金額を支払わせた上で、
もらう側もそれに依存せずに生活を成り立たせる努力ができる環境を整備することでしょう。

仮に大きい額の支払いを約束させたとしても、頓挫するようでは意味がない。

 

養育費もいつまでももらえる類のものではありませんし、
いざ支払いが終わった際に母親がキャリアを築いていなかったらどのように生きてゆくのですか。

 

結局のところ、より多くの養育費を取れるようにしたいというのは、
種だけまいた男になんらかの罰を負わせたいという処罰感情が少なからずあるからなんですよ。

それがなければ、過去の事にこだわり続ける理由がない。

 

「子が同水準の生活を送るため」なんてのは、法の理屈の方便に過ぎません。

 

でもそれって、養育費の趣旨に完全に反していますよね。

 

本当に母子家庭の将来を心配するのであれば、
現実味のない額の養育費を取れるようにしようというのは完全なミスリードかと思います。

 

母子家庭を取り巻く環境の不備を養育費の増額で対処しようというのは、
そういった環境整備の負荷や責任を別れた元夫に擦り付けているだけなんじゃないですか。

 

母子家庭はかわいそう、守らなきゃ、とか、
そういう「いいこと」がしたいのであれば、まずは己の身や労力を裂くべきでしょうに。

責任の所在を上から論じて済ませようなんて、少々、無責任過ぎやしませんかね。

 

あと、僕は母子寮やシングルマザーの実態をそれなりの期間、間近で見る機会がありましたが、
はっきり言ってシングルマザーはこれ以上甘やかす必要なんてないです。

 

生活に追われる心配がなく、
金とヒマをもてあました人間などロクなことをしません。

 

そういうチンピラみたいなシングルマザーを増長させないためにも、
過度な保護体制など作るべきではないです。

負荷を伴わない金は、人を腐らせますから。

 

養育費はもちろん、児童手当等の公的扶助までも、
新しい男に貢いでいるようなヤツがどれだけいると思っているのですか。

 

そういった意味では弁護士会の増額意見は、母子家庭や養育費支払いの実態に沿っていないですね。

 

にもかかわらず、弁護士達が「実態に合わせる」と称して、
新算定表なんてものを勝手に作ってまで増額を進めようとする目的は一体、なんなのでしょうか。

 

 

増額表が採用されたら、またそれを皮切りにして宣伝するの?

 

ははは。

それこそ、弁護士を肥えさせるだけにしかならないじゃん。

 

 

女手一つで子を育ててゆくことは並大抵の事ではないでしょうし、
それが満足にできるための環境整備が今の社会で完全に整っているとは僕も思いません。

 

というか、完全に整備するなんて事は不可能かと。

社会がカヴァーしきれない部分は各自で努力してゆくしかないんですよ。

 

 

不備の責任を元夫のみに押し付けるかのような制度を推し進めようとするのは、
あまりにも実態とやらを軽視しすぎな活動だと言わざるを得ないですね。

 

法制度や統計数字だけでなく、もっと広い視点からの情報も集めた上で検討すべき問題かと思います。

 

 

2018.11.28 wrote

行政書士 吉田 重信

 

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