逆DVが起こる理由と背景
「妻の暴力・逆DV問題」題目
2.「逆DVが起こる理由と背景」
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行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
秀和システム様より、本を出版しております
「プロが本音で書いた男のための離婚の本」
逆DVの原因については時代背景や社会常識の変化等、
様々な要因が絡む問題で、とても一言では説明しきれない。
ただ、被害が表面化する機会が、ここ最近になって増えてきていることはたしかだ。
無論、これまでも同じくらい被害者はいて、
単に表に出てこなかっただけだ、という考え方もあるだろう。
でも、僕の考えはちょっと違う。
たしかに、こうやって男性のDV被害が表面化される前にも、
一定数の被害者はいたとは思う。
ただ、すでに定年を迎えている方やそれに近い世代、
いわゆる昭和世代の人達は基本的にDV被害者にはなりにくいものと考える。
これは世情的な意味合いだけでなくて、
その世代と現代世代との常識のギャップによる影響が大きい。
まぁ、早い話、今の現役世代の人達は、男女、共に知識が入りすぎなんだよ。
男はうかつなことをすれば訴えられることもあるってことを知っているし、
女は何か気に食わないことがあれば助けを求められる窓口があることを知っている。
今はネットの発達で、より知識が入り易くなってきているから、
もはやこういった考えや知識は常識みたいな形で一般化してしまっていると思う。
「DV夫」、「モラハラ夫」等の言葉が一人歩きしまくっているのなんか、その典型だな。
とりあえず、相手に対して何か不満があれば、
その言葉を突きつければ良い、みたいな空気すらあるからね。
そういったお互いの知識面でのこう着状態が、
一方的な暴力といったことに繋がることもあるわけだ。
・・・なんで知識が暴力に発展するのかわからないだって?
直接の原因は知識の有無じゃない。
それを互いに知ってしまっていることによって、
責める立場と受ける立場が顕在化しやすくなってしまっていることが問題なんだ。
普段から何を言っても、遠慮して言い返してこない、やり返してこない、
そんな環境で生活をしていると、その内、互いの間に上下関係みたいなのができてくる。
最初は憎まれ口程度であったとしても、
いずれ行為はどんどんエスカレートしてくるんだ。
そして、もし何かがきっかけで、一度、暴力という垣根を超えてしまったら、
それに自分で歯止めをかけられる人間は少ない。
飛躍させすぎだと思うか?
でも、無抵抗の相手に対する一方的な暴言、暴力ってのは、非常にクセになるんだよ。
これは人間の本能だ。
男女に関係なく、誰にだってそういった面は、ある。
もちろん、こんな状況になったからといって、すべての人が暴力に走るわけじゃない。
元々、その人物の「素養」の問題でもあるからね。
ただ、環境と当事者の「素養」とがかみ合ってしまうと、
女から男に対してでも暴力事件に発展してしまうケースは実際にあるんだ。
これを回避するためにはそこまでの状況に至ってしまう前に、
互いの関係性をしっかりと保つことを意識して生活をすることが大切だと言える。
実際、相手が刃物を振り回す等のドラスティックな行為にまで及んでいるケースでは、
被害者側が早い段階で対処をしなかったからだろうと思われるような場合も少なくない。
定年世代の男性が一般的にDV被害者にはなりにくいのは、
女性に対する余計な知識が無いおかげで、そういった遠慮がない人が多いからだ。
亭主関白とか、女は一歩下がっているべき、とか、
そういった考え方が美徳みたいな体で「常識」として接する機会のあった世代だね。
遠慮がないから文句だって平気で言うし、
手なんか出される前に、そういった雰囲気にさせない気概のある人が多い。
無論、この手のタイプは自覚なくDVやモラハラに及んでしまうケースもあるから、
そういった世代の方達の考えや態度をそのまま真似するのが正解だとは思わない。
ただ、DVが起こる原因は互いの立場や関係性によるファクターが大きく、
法律で無理やりやめさせる等のやり方では根本的に解決をすることはできないんだ。
暴力は振るっている側の人間の方が絶対的に悪い。
それは間違いない。
しかし、相手をそこまで増長させてしまったのは、
自分の油断が原因となっている場合もあるということにも理解を示すことが必要だ。