秘匿制度の創設は不特定提訴もセットで

秘匿制度の創設は不特定提訴もセットで

 

 

民事裁判や離婚調停にもIT化に向けて制度構築が進んでいるようですね。

以下、朝日新聞様の記事からの引用となります。

 

民事裁判も離婚調停もオンラインで 全面IT化の改正法が成立へ
(朝日新聞様 引用)

https://www.asahi.com/articles/ASQ5K65MHQ52UTIL01F.html

 

 

コロナ禍の影響もあって対面での手続きにはリスクが伴いますし、
出頭を必須とした手続き模様は些か前時代的でもありますから、この流れは必然かと思います。

 

まぁ、正直、モニターを介した訴えや代理人必須とした手続きで、
当事者の考えや思いがどこまで伝わるのか、という面については懸念もありますがね。

しかし、それでもオンライン化に向けた制度改革は盆雑な司法制度の緩和にもつながりますから、
これは素直にポジティヴなものとして受け入れるべきと考えます。

 

しかし、この記事の下部にしれっと書かれている、
DV等の被害者が提訴する際の秘匿制度も合わせて創設される、というのが引っかかりますね。

 

司法手続きのオンライン化は時代背景もあって前向きに検討すべきものと考えますが、
そのこととDV被害者救済のための制度創設は別問題でしょう。

手続きを円滑にするという制度改革とは別に、
実際の離婚現場での世情をよく見た上で慎重に検討すべき問題と考えます。

 

個人的にこういった秘匿制度の創設は、
離婚事例でのさらなる社会問題の発生を懸念せざるを得ません。

秘匿の強化は、事件の相手方から法的主導権を取り上げることと同義でもありますから。

 

実際に今でも妻にDVを主張されて住所もわからないから、と、
法的手続きを行えずにいる男性は数多くいます。

連絡がつく住所を夫が自分で特定できなければ、訴訟にしても調停にしても始めることができませんからね。

 

 

そう、現状では妻にDV被害を盾にして逃げられてしまった場合、
夫は自ら先導して法の救済を受けるための手続きを進められないのです。

 

 

そして、そういった事情を承知の上で、
わざと夫の法的救済手段を封じるような戦略を組む弁護士も多数存在します。

いや、多数いるというよりも、
むしろこれは離婚事例における弁護士の立ち回りとしてはセオリーでしょう。

 

そういった手段を使ってこない妻側弁護士など、今まで見たことがないので。

 

これが正当な弁護活動の一環として扱われていることには、
終始、違和感しか感じません。

 

依頼人の利益を追求するのが弁護士の仕事と言っても、
そこには決められたルールの範囲内でという縛りはあって然るべきでしょう。

ルールというのは法律はもちろんでありますが、
それだけではなく社会性や倫理的な面での妥当性も含めた上での話です。

そういったものが欠けた行為を行う者は法的には問題がなかったとしても、
社会問題を引き起こしているだけに過ぎません。

 

そんな行為がまかり通っている今では妻に住所を秘匿された場合、
妻側からなにかアクションを起こしてくるまで、夫は何もすることができません。

 

現状、夫は妻からのやられ待ちであります。

 

 

なので、これについては単純に被害者(?)のための秘匿制度を設けるだけでなく、
秘匿された相手方の手続保障もセットで創設することが必須と考えます。

 

配偶者に住所を秘匿させるのであれば、
秘匿された側は自分の配偶者や家族に対する訴状や申立書への住所の記載を免除すべきです。

 

郵便物が送れなければ手続きを進められないだろ、という声もあるでしょうが、
そんなのは秘匿手続きをする者に裁判所への住所申告を義務付けすれば良いだけの話です。

住民票の秘匿等も、その手続きの受領印を確認した上で行うよう制度を再設計すべきでしょう。

 

というか、そういう縛りを課さないまま好き勝手に秘匿させているから、
こんなふざけた社会問題が起こっているんだろうが。

 

裁判所が仲介して家裁に呼び出すだけで、
夫に住所等を伝えなくて済むのであればそれで問題ないはずでしょう。

他に何か問題でもあるのですか。

 

DV保護を建前にさえすれば、
加害者とした相手に負荷をかけても良いという考え方は危険です。

 

司法での事実認定を経由せずとも加害者として扱うDV事件の現状では、
加害者(とされた)側の救済ルートも残しておかなければ平等とは言えないでしょう。

 

秘匿制度の創設はそういった実情を踏まえ、
虚偽申告や弁護士による戦略的な申告に対する応訴手段も設けた上で行うべきと考えます。

 

 

2022.05.20 wrote

行政書士 吉田 重信

 

 前コラム DVの事実を証拠で固めようとする戦略の危険性

 

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