共同親権の獲得に解釈の余地を残しては意味がない

共同親権の獲得に解釈の余地を残しては意味がない

先月末に共同親権導入の具体的な要綱が上がってきたようだけれど、
獲得に争いと解釈の余地を残している時点で、見通しはかなり暗いと言わざるを得ない。

NHKニュース様より引用

「共同親権」導入　法務省は民法などの改正案を今国会提出方針

こういうのは一律に施行、導入した上で、
問題が起こるようならば別枠として権利の制限や剥奪を検討する形が望ましい。

権利の付与前に争いの余地を残しておく理由はなんだい。

結局、導入後も単独親権が基本という考え方は変わらないということだよな。

形式上は原則、付与といった形をとっていたとしても、
初めから与えない導線も用意するのは、やはりそういう考えが根幹にあってのことだろう。

なにか、既存の制度を重視する者達から強い反対でもあったのか。

そうでもないと、この中途半端な対応は説明がつかないだろう。

これで現状が変わることは、恐らくなにもない。

なぜかというと、結局、争いによって付与を妨害できる導線が存在していることによって、
今現在起こっている連れ去りや面会妨害のスキームがそのまま流用できてしまうからだ。

虐待やＤＶ被害をでっちあげて、子の連れ去りや面会を断絶させる手法は、
今でも弁護士界隈で腐るほど存在しているんだぞ。

選択肢が増えたこと自体は大きな一歩に違いはないが、
その選択をする余地が塞がれてしまってはなんの意味もなさない。

今回、出てきたこの要綱はそういったスキを内含したままの状態じゃないか。

これで現状で起こっている連れ去りや面会妨害に対処したというのは、
いくらなんでもお粗末が過ぎるだろう。

要綱のまとめに参加した専門家達は、
ちゃんと現場を知って、現状をちゃんと真正面から認めている人間なのか。

そういった点に疑いを持たざるを得ないほど、
この要綱の内容は対外的に対処した建前を用意しただけのようにしか見えない。

そもそも、今回、こうやって共同親権への舵取りが進んだのは何に対処するためなのか。

そこが重要なところだろう。

子を巡った今の不合理な状況にストップをかけるための施策なのか。

それとも、福原愛元選手の事件等の世間の反応を考慮した上で、
対策はちゃんと打っていますという建前だけを用意しようというだけの話なのか。

それとも、それにかこつけて、
自分が新しい制度の立ち上げに関わったという実績を残したいだけなのか。

辛辣なことを言っているのは承知しているが、
子を奪われた親達の有様の現状を見ている限りじゃあ、これで対処をすることは不可能だろう。

この施策を現実に即して運用するためには、
まず、今の離婚分野では連れ去りや面会妨害が当たり前のように行われていること。

そして、それがなんら子の福祉に資するものではないということ。

その上で、そういった戦略に走る弁護士達の行為は断じて許されないということ。

この三点を表立って認めてからだろうが。

立場上の都合なのか何なのか知らないが、
未だにこういった戦略について、デマだの、存在しないだのと言っている弁護士もいる。

しかし、流石にそんなやり方で隠し通せるレベルの話ではない。

現に被害者は僕の手元でも多数、存在しているんだからさ。

そもそもこの話を、下手人である弁護士自身に論じさせていること自体が間違っているんだ。

今、こういった流れになっている以上、
近い将来、共同親権の導入自体は現実のものとなる可能性が高い。

要綱も既に固められてしまっているようだから、
これまでの傾向から見ても今更、議論のやり直しなどしないだろう。

養育費算定表の増額も、実態を何も検討せずに強行したくらいだからね。

実際に法改正がされた後は、共同親権がどれだけ弁護士によって争われているか、
そして、どういった争い方をされているのか。

せめてその二点くらいは、世間に対して情報の発信と共有を徹底すべきだ。

処罰規定を設けられないというのならば、せめてそのくらいはしたらどうなんだ。

当事者の存在を無視した施行対策なんざ、施行する側のためのものでしかないだろう。

2024.02.08 wrote

行政書士　吉田　重信