不同意性交罪を通して見る過剰保護の不合理さ
現在、例の件で世間ではかなり盛んに議論が行われているな。
例の件については、とやかく言うつもりはない。
事実関係がまだはっきりと出た訳じゃないし、
係争となることがほぼ確実であろう事案だから、なにかを言うべき立場でもない。
ただ、こういった法律とそれを取り巻く実態との不合理さについては、
良い機会とも言えるので論じておく価値はあるだろう。
行為そのものを取り締まり対象とすることについては、異論はない。
実際問題として、これまで泣き寝入りになっていた事例は腐るほどあるだろうからね。
ツールが発達したおかげで表沙汰になりやすくなった以上、
処罰規定が組まれるのは当たり前だ。
治安維持のためにも、この流れは必然だと言っていい。
ただ、その反面、適用事例の境界線についてははっきりとしないものが多く、
それによって一般男女間事例において特有の不合理さを招くことになっている。
極端な話、こういった法律は男女間交際そのものを取り締まるつもりで作られたわけじゃないだろう。
しかし、実際の近隣法の取り締まり事例を見た限りじゃあ、
一般の交際や関係に対しても、警察を介入させる足掛かりとなっているような面もある。
これは警察が問題というよりも、
安易に通報したりするヤツの恰好のツールとして利用されがちという話だ。
本来は事件性のある事例の取り締まりのための法律が、
事件化を望む者達によって一般事例も事件にされてしまっているというわけ。
不同意性交罪に限った話ではなくDVや虐待についても言えることだが、
一部のドラスティックな事例に対する可罰意識を一般事例にまで落とし込み過ぎなんじゃないのか。
この状態は、はっきり言って不健全だよ。
適用の境界線を被害者の内心に傾け過ぎたことによって、
被害を訴えられた側が被害者の当時の内心を証明しなければならなくなっている。
しかし、そんなことは現実問題として不可能に近い。
被害者がなんらかの目的があって敢えて事件化を望んでいるような事例であれば、
それこそ無理問答にしかならないだろう。
なお、現在、弁護士達がこぞって例の件を通して論じているが、
民事案件を有利にするために警察への通報実績を利用する弁護士は腐るほど存在する。
今の今、現在進行形で引き受けている案件でもいるよ。
離婚や子どもの連れ去りを有利にするために、警察に駆け込んで実績作りに勤しむ弁護士が。
この法律もいずれは弁護屋達にそういう使い方をされる可能性が高いから、
連中の本件に関する言及もポジションありきで論じられているものと捉えておいた方が良いだろう。
弁護士達も論及するのであれは、ただ法律を解説したりするだけじゃなく、
制度と実態面における問題点に対しての鋭い指摘とかを期待したいものだね。
専門家なんだろう、法律の。
回避行動一辺倒のアドバイスなど、聞く価値がないと言っていい。
最近の話でもないが、なんか随分と乱暴な物言いをする弁護士が増えたよな。
わざとらしく崩したような文体で、
やたらと明け透けにシモの話をしたりギャンブル趣味を公言したり。
個人の趣向を否定する気はねぇよ。
好きにしたらいいし、言葉遣いに関しては僕がとやかく言えることじゃない。
ただ、決定的に足りていないと感じるのが他者に対するリスペクトだ。
これは読み手、受け手に対してももちろんだが、
実は苦言を呈したりしている事例や制度、立場に対しても必要なことでもある。
リスペクトのない言及は、ただの暴言でしかない。
仮にどんなに言葉遣いがちゃんとしていたとしても、な。
必要なのは悪感情ではなく、他者の立場と考えと存在を認めることだろう。
仮に否定や批判であったとしても、まず始まりはそこからなんだよ。
その上で己自身の考えを、
文字通り、言葉をもって、射抜くのだ。
そうであってこそ、明け透けで時に辛辣な物言いであったとしても、
届く人間には芯に刺さるような言葉となり得る。
外面を変えただけでは、思慮が浅いとしか見られない。
本音や本心が透けて見えるからね。
文章では特に目立つよ、そういうの。
2024.10.14 wrote
行政書士 吉田 重信
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