違法であるか否かの問題じゃない
例の商品券問題が大きく議論されているが、
このように素行が問題とされた場合、違法性を軸にして物事を判断しようとする動きが多い。
当人達の言い分にしても、そうだね。
法的に問題があるか否かというベースで、
当の行為を論じることに終始しているようなケースが目立つ。
まあ、要職の身である以上は法的な面における潔白性は確かに重要だろう。
しかし、申し開きをする前に、
もっと真摯に対応すべき部分があるんじゃないのか。
こういった話では法的にどうであるか否かの前に、
それが一般社会や大衆の感覚においてどのように思われるかの方が重要だろう。
商品券の件に関して言えば政治資金規正法に抵触するか否かよりも、
裏金問題等で国民感情が高まっている今、そのような行為をしたらどう捉えられるか、だ。
違法性の否定では事件化は回避できるかもしれないが、
行為そのものに対する憤怒と是正の感情までを回避することはできないだろう。
こういった問答をすることによって、
かえってより激しく突き上げを食らったりするような場合もある。
否定や反論は、逃げや開き直りと捉えられたりもするからな。
つまるところ違法性の有無を軸にして物事を論じようってのは、
立場を守るための論法なんだよ。
それは実質、行為に対する倫理面の排除に等しい。
一般的な感覚で判断されてしまっては不利だから、
法的な議論を自らが論じて、その上で是か非かを判断してもらおうってんだ。
どちらかというと、逃げの論法に近い。
今回の件では事実関係を素直に認めたことに関しては評価できなくもないが、
なんで突き上げをくらっているのかについて的を射られていないことは大いに問題だろう。
10万円って、僕ら一般市民にとっては結構な大金だし、
それをホイホイと人に渡したりするような感覚は倫理性を疑われて当然。
終始、税収が足りないなどと言って増税指揮を執り続けた上でのことなのだから、
厳しく追及、非難されるのは当たり前だ。
政治家の金銭感覚は社会に直結する話でもあるから、
これは断じて、個人の違法性云々で論じてよろしい問題ではない。
なんか、弁護屋とかでもこういった頭の悪そうな論調を繰り返す輩がいるよな。
大きな社会性の関わる問題であるにもかかわらず、
一個人にとって違法であるかどうかを熱心に論じて火に油を注ぐバカが。
自分の扱っている問題がどういう類のものなのか、
偉そうなことを言うクセして自分で把握できていない証左だろう、これは。
現に、今現在においてもいるよ。
違法性がない、問題にされないからと、子どもを連れ去ったり面会を勝手に中断したり、
自ら司法に訴えたにもかかわらず判決が気に入らないからと、無視する弁護士が。
TVとかに出て有識者ヅラでコメントしていたりする者もいるが、
はっきり言って出る方も出す方もどうかしている。
こんな倫理観のない人間に、
公共の電波を使って喋らせちゃダメだろうが。
問題の要点を捉えられていない「有識者」ほど、タチの悪い者はいない。
倫理性が問われたり社会性が関わったりする問題は、
個人の考えやお気持ち表明で論じて済ませられるような話ではないんだ。
2025.03.15 wrote
行政書士 吉田 重信
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