賠償金額10万円?いじめに対して訴訟という手段は適切と言えるのか
埼玉鴻巣市の中学校におけるいじめ行為への賠償請求に対して、
裁判所が一定の判定を下したようだ。
結果的に言うと、認められたのは請求金額には遠く及ばない10万円。
しかも加害者の一部に対してのみだ。
以下、埼玉新聞様からの引用です。
テストの順位で土下座させた同級生に賠償命令
https://www.saitama-np.co.jp/articles/115459/postDetail
金額が適切かどうかについては、特にここで深くは論じない。
それは司法判断の結果ゆえのものだし、
個人的な感想としても、加害者が未成年であることを考えると仕方がないと思う面もあるからな。
日本って、精神的苦痛に対する算定は外国と比べると大分安いみたいだからね。
その上で未成年による行為であることを加味されたら、
こういった結論に至るのも一理はあるだろう。
ただ、こういった惨憺たる結果を目の当たりにして、
いじめという問題に司法の場で戦っていくことに対して疑問が残る部分もあるな。
個人的な意見を言わせてもらえれば、
仕返しの方法としてそれを主軸とするやり方は間違っているぞ、と。
重要なのは賠償金を取ることなんかよりも、当事者達からのいじめがあったという事実だろう。
それを、今後に向けてうまく使っていった方がいい。
事実の証明に関しては裁判所がいじめがあったこと自体は認定してくれたのならば、
これについては申し分ない。
些少とはいえ賠償金の支払いを認めたってことは、つまるところそういったことでしょう。
金額がどうであれ、やらかした事実ってのは、今後色々な面で響いたりするものなんだよ。
対外的にというだけでなく、内面的なことにおいても、だな。
これに関しては賠償責任ではなく、いわば社会責任のようなものだから、
お金を払って責任を取りました、だけでは済まない話なんだ。
特にいじめという倫理的な面での常識を問われるような問題では、ね。
人間性を疑われるような問題に波及する場合だって、ある。
もちろん、その事実を使って加害者達を脅かしたりゆすったりしちゃあダメだけれど、
そういった話でなくとも当事者を問題に向い合わせ続ける方法は、実はあったりするんだよ。
だから、僕がこの被害者の立場だったら、
仮に10万円であったとしても訴えが認められたという事実だけで万々歳だな。
これで色々と、立場が確定しただろう。
やられた立場とやった立場が明確化するってのは、社会ではとても怖いことなんだ。
それは上手に活かしてゆけば、
自分にプラスにしつつも一矢報いる手段になり得るものでもあるからな。
2024.12.26 wrote
行政書士 吉田 重信
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